増加する『墓じまい』ニーズ
子供たちに迷惑をかけたくない!?
先日、年配のご夫妻より
「子供たちに負担をかけたくないのでお墓を撤去してください。
私たちがしっかりしている間にスッキリして迷惑にならないようにしときたいんです。」
と墓石撤去のご依頼を承りました。
このところ、いわゆる「墓じまい」の依頼や相談を受ける事が増えています。
従来のお墓は「家」を一つの単位として、基本的には親から子へ代々引き継がれていくことが当然でした。
墓の持ち主が亡くなった場合、その家を継いだ長男がお墓も承継するケースが多かったのでしょう。
ですが、近年様々な理由でその様な考えは急速に廃れつつあります。
ライフスタイルの変化。
子供と親が離れて暮らすケースの増加。
供養等に関する価値観の移り変わり。
高齢化や少子化、人口減少・・・など。
結果、お墓の継承ができない事例が増えています。
【参考】
→ 「継ぐ人がいなくなったお墓はどうなるの?」
墓じまいがブーム!?
このような社会背景により、「お墓をたたんでしまおう」とするケースが増えています。
その行為を『墓じまい』と読んでいます。
墓じまいのキーワードがメディアで取り上げられているケースを目にすることもよくあります。
【参考】
→ 「墓じまい支援について」
墓じまいをしてしまえばスッキリできるのかもしれません。
しかし、軽はずみで決断してはいけない問題のように思います。
奈良のお墓のよろず相談所としては、世の中の安易な墓じまいの傾向に警鐘を鳴らしたいと考えています。
お墓とは、そもそも何か?
お墓があることで、いつでも誰でもお参りができる
墓じまいについて判断する前に、まずは「そもそもお墓とは何なのか?」を改めて考えてみましょう。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』はお墓についてこう定義します。
「墓は遺体または遺骨を収めて故人を弔う構造物。
墳墓、墳塋ともいう。一般に墓石・墓碑などの目印を置き、これを墓標という。
また、この墓石・墓碑を指して墓ということもある」
お墓は亡くなった人を埋葬する場所です。
そして、同時に私たちの祈りの場所でもあります。
お墓は野外にあるので、だれでも好きな時にお参りができます。
墓石はその家の固有のものですが、お参りは自由です。
故人とつながりのあった親戚や、友人知人も、お墓参りの権利は誰にでもあります。
逆に言えば、お墓がなくなると、みんなのお参りをする機会を奪ってしまうことにつながります。
なお、そのお墓の特性を生かして、歴史上の人物や著名人の墓を巡り、故人の足跡に思いをはせる「墓マイラー」と呼ばれる人も増えているそうです。
個人的には、私はいつか歌手の尾崎豊さんのお墓参りに行けたらいいな、と思っています。
・・・話が外れてしまいました(^^;
お墓は、ご先祖様や故人とつながる場所
皆さんはお墓の前に立ったとき、墓石に向かって何を語りかけますか?
家族や友人の幸せを祈ったり、人生の節目に報告する人もいるでしょう。
悩みや愚痴をこぼす人もいるでしょう。
「元気にしてますか?」と亡き人に語りかける人もいるでしょう。
人は いつでも・どこでも、誰かを想うことができます。
お墓でなくても、ご先祖様や故人に想いを伝えることは時間・場所問わずできます。
しかし、人は特定の場所やモノがあることで対象にフォーカスしやすくなる習性を持っており、人類に古来、共通に受け継がれてきた「ご先祖様や故人とつながる場所」がお墓なのです。
お墓の前で自分たちのご先祖様を偲んだり、故人との思い出を思い浮かべたりする事で、その人の一生に思いを馳せ、そして亡くなってしまった人生を考えると、多少なりとも自分もやがては死ぬときがやってくると自分の死を意識することもあるでしょう。
仏教では、「無常を観ずるは菩提心のはじめなり」と、死をみつめることが 本当の幸せへ向かう第一歩だと教えられています。
忙しい日々の中で、 自分の人生を振り返る機会はなかなかありませんから、亡くなられた方をご縁に自分の人生を振り返り、本当の生きる意味を考える機会となれば、お墓参りは意味あるご縁になります。
自分が生まれてきたことに感謝する、自分は生かされている存在である、そんなことに気付かせてくれるのもお墓の役割なのではないでしょうか。
お墓を残す方法を考える
墓じまいを考えているけれど、本音では「お墓を残したい」と思っている方がいらっしゃるかもしれません。
一緒にその方法を考えてみましょう。
お墓参り代行(代理墓参)
お墓参りの代行を行っている業者があります。
私たち奈良のお墓のよろず相談所でも提供しているサービスです。
【参考】
→「お墓参り代行について」
お墓をとじることを考える原因のひとつに、「お墓参りに行けないため、お墓を荒らしたままにしてしまっている。これがとても心苦しい」というケースがあります。
お金を使ってしまうことで、この罪悪感を解消する手が考えられます。
お墓の引っ越し
「お墓が遠いからお墓参りができない」
「遠方のお墓へのお墓参りが大変すぎる」
こんな墓じまいの動機も聞かれます。
ならば、お墓そのものを移動させてしまってはいかがでしょうか。
身近なところにお墓があれば、気持ちよくお墓参りができるようになります。
【参考】
→「お墓の引っ越し支援」
それでも、やっぱり墓じまいならば……
とはいえ、私たちも『墓じまい』を否定するわけではありません。
墓じまいが問題解決をもたらすことがあります。
どのようなかたちで墓じまいが行われるのかは、リンク先の記事をお読みいただけると参考になると思います。
【参考】
→「墓じまい支援について」
墓じまいを選択した際に、もうひとつ考えていただきたいことは、その後の供養の方法です。
お墓を無くしたからといって、先祖供養が終了するわけではないでしょう。
通常は、別のかたちの供養のやり方が必要になると思います。
たとえば、最近では手元供養といったカテゴリーも登場しています。
承継者がいなくても持てるお墓?
正式なお墓に分類されないかもしれませんが、樹木葬や永代供養等の新しい供養のかたちも登場しています。
継承者がいなくても利用できる点にメリットがあります。
そのため従来のお墓をたたんで、こちらに移行される方もいらっしゃいます。
【参考】
→「継承者がいないけどお墓が欲しいときは?(樹木葬、合祀墓、納骨堂等)」
永代供養墓については、わたしたち「奈良のお墓のよろず相談所」でも企画・運営をしています。
今後も展開を広げていきたいと考えているので、ご興味ある方はお声がけください。
【参考】
→「伝説と眠る永代供養『みちびき』」
※お墓のよろず相談所が企画運営
墓じまいに関心をお持ちの方へ
この記事では、「墓じまい」について取り上げてみました。
●せっかくのお墓なので、安易に墓じまいをしてしまわないこと
●それでも墓じまいを選ぶ場合は、次の供養方法を考えておくこと
この二点がポイントとなりそうです。
墓じまいや新しい供養方法についてのご相談は、お気軽にお寄せください。
【お申込み・お問合せ・ご相談】
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