お墓を維持するための費用も気になる
私たちは、昔からお墓を維持・管理することを「お墓を守る」と表現し、守っていく人の事を「墓守(はかもり)」と呼んできました。
「墓守」は、お墓が朽ちることなく続いていくように務めます。
さらにお墓に関係するお参りや行事に参加し、法事などの施主を務めます。
墓守の務めを果たすためには、経済的な負担もあります。
ではお墓を維持・管理する為には一体どのような費用が必要となってくるのでしょうか。
お墓を維持するためにどんな費用が?
お墓にかかる主な費用は、3タイプに分けられそうです。
まず、お墓のある墓地の管理者に支払う『管理費』や寺院などに対する『お布施』。
次に、汚れたり痛んだりしてくる墓石の『メンテナンス費』。
最後に、新たに亡くなった方が埋葬される際に墓石や墓誌などに故人名や戒名(法名)を彫刻する『追加彫り』といったところでしょう。
それぞれをもう少し詳しく見てみます。
管理費やお布施
管理費は墓地の使用を続けるために、墓地の管理者に支払うものです。
墓地は購入するのではなく「賃貸」されるものなので、賃貸物件で言えば「共益費」にあたる「管理費」がかかります。
管理料の支払いは、永代供養料と合わせて一括払いとする霊園や墓地もありますが、通常は毎年ごとに支払う方式が多くなっています。
「管理費=我が家のお墓を掃除してくれる料金」
こう勘違いしている人もいるようですが、個人が所有する墓石の維持・清掃にあてられるのではありません。
あくまで共同で利用する墓所の水汲み場・トイレ等の清掃や補修などの維持管理に使われます。
通常、霊園・墓地の区画を使用する権利(永代使用権)を取得した時点で、この年間管理料の支払い義務が発生します。
まだお墓そのものが建てられていない状態でも支払わなくてはなりません。
墓地は「公営霊園」「民営霊園」「寺院墓地」と大きく三つに分類することができ、墓地の種類ごとに管理料が異なります。
①公営霊園
公営霊園とは、都道府県や市町村などが運営を担当しています。
公営の自治体が運営している為、年間管理用は民営霊園や寺院墓地に比べて割安なことが多く、平均で4,000円~10,000円程度となっています。
公営霊園の場合は民営霊園と違って、法要などの際にあらゆる手配を自分で行わなくてはなりません。
しかしこのことは逆に、余計な手数料などがかからず、全体の費用を抑えられるというメリットであるとも言えそうです。
②民営霊園
民営霊園というのは、宗教団体や財団、社団法人などからの委託を受けて、民間の企業が管理・運営を行う霊園です。
年間管理料は平均で5,000円~15,000円程度となっており、公営の霊園・墓地と比較すると金額は高めの傾向です。
その分、納骨などの法要やこれに伴う会食などの手配を、すべて管理者(管理事務所)に代行してもらえるというメリットがあります。
このため転勤の多い方や、将来お墓を引き継ぐ方が遠方にお住まいといった場合は、民営霊園を選ばれることも多いようです。
③寺院墓地
寺院墓地は基本的に檀家のための墓地です。
年間管理料の額は寺院によって異なりますが、一般的なお寺であれば2万円程度までで収まります。
注意したいのは管理料とは別に、多くの寺院墓地ではお布施や寄付・お寺の行事への参加等が必要なケースが多く、その場合お墓の維持にかかる費用は、3種類の中でもっとも高額となります。
例えば、寺院では毎年定期的に檀家が集まって、施餓鬼法要や彼岸法要などを執り行い、その時にお布施を包んで持参します。
また、身内に発生した葬儀はその寺院に依頼しなければなりません。
その場合も当然お布施を包んでお渡し、その後の法事もその寺院に依頼します。
その他、寺院が大掛かり改修工事を行う時も、檀家1軒1軒が寄付をします。
このような檀家の役目としての寺院への出費も、お墓の維持費のうちのひとつと言えそうです。
しかし、費用面を含めた葬儀・法要などといった仏事のすべてを、お寺で執り行ってもらえるという安心感や、手厚い法要などは他にはないメリットです。
もしもそうした檀家の務めとして出費が嫌ならば、檀家であることをやめれることになります。
(これを「離檀」と呼びます)
その場合は寺院の中にあるお墓も撤去しなければなりません。
墓石のメンテナンス
日夜、風雨や日光にさらされている墓石は、いくら頑丈な石といえど年月とともに劣化するのは避けられません。
自己処理が無理な場合は石材店へ依頼し、修繕費用が必要になります。
例① 墓石の汚れ
墓石は水垢等で段々と汚れてきます。
自分で汚れを落とせない場合は、無理に落とそうとすると逆に石を傷つけたり、変色の原因にもなるため、お墓を大切に保ちたい人は石材店に依頼しましょう。
プロの技術で見違えるほどきれいになります。
例② 墓石の損傷
お墓のひび割れや傷を発見した場合は早めに手当てしましょう。
損傷が小さいうちなら修復が可能ですが、大きくなってしまうと墓石を新しくしなければならないこともあります。
例③ 墓石の傾き
お墓の傾きが気になる場合も石材店に相談してみましょう。
傾きの具合や要因によって、修復せずそのまま様子をみても大丈夫な事もありますし、据え直し工事が必要な場合もあります。
お墓もリフォームすることができる!?
気になる点がなくなると、よりお墓参りが清々しくなります。
傷や汚れが進行する前に、手を打っておきましょう。
結果的に費用を抑えることができるようになります。
頭に入れておいていただきたいことは「お墓はリフォームでよみがえらせることができる」ということです。
何も建て替えることだけが解決策ではありません。
石材店に墓地まで来てもらって、どこを修繕するのがよいかをアドバイスしてもらい、見積もりをしてもらいましょう。
【参考】
追加彫り
新たに亡くなった方が埋葬されると、浮乗は墓石や墓誌などに故人名や戒名(法名)の追加彫りをほどこします。
その際に別途費用が発生します。
追加彫刻の費用としては、1体分で5万円から10万円前後が相場となります。
墓石の移送費とお寺様への御布施が必要かどうかで、額が異なります。
事前に石材店とお世話になっている寺院等に確認した方が良いでしょう。
【参考】
まとめ:お墓の維持について
近年ではお墓を管理して守る「墓守」に対する感覚も昔とは変わってきました。
墓守の役割や負担を、重荷と考える方も増えてきたように思います。
しかし、「墓守」として無理に何かしなくてはならない決まりはありません。
あくまで「可能な範囲で故人を尊ぶ」ことができれば良いのではないでしょうか。
とはいえ、ご事情によりお墓を維持することが難しい場合もきっとおありでしょう。
その際には「代理のお墓参り」や「お墓の引っ越し」、さらには「墓じまい」といった解決方法もあります。
「奈良のお墓のよろず相談所」までご相談にただければ幸いです。
お電話の場合:0745-48-2427
問合せフォームは、こちら
【参考】
→ お墓参り代行
→ お墓のお引越し
→ 墓じまい
よくあるご質問
Q.管理料を滞納するとどうなるの?
A.永代使用権を失うこともあります。
一般的に3年以上にわたって年間管理料の滞納が続くと、墓地の所有者や埋葬されている方のお名前などを官報に掲載し「1年以内に申し出るよう」伝えます。
さらに、お墓の見やすい場所にも立て札などを1年間掲示して公告します。
それでも申し出がなかった場合は永代使用権が取り消され、お墓そのものも撤去されてしまう場合があります。
撤去されると墓石は粉砕されて、お墓に納められていたご遺骨は合祀墓に改葬されるのが一般的です。
合祀墓に納骨されるとご遺骨は二度と取り出せませんので、十分な注意が必要です。