しぶといお墓の雑草を考える
お墓参りで困っていることはなんですか?
と問うと本当に多くの方から「雑草、草引き」という答えが返ってきます。
「お参りの前の草むしりに時間や手間がかかって、お墓に手を合わせる頃にはすっかり疲れ果ててしまうんです」と。
元大リーガーの上原投手の座右の銘としても有名な「雑草魂」は、「環境がどんなに悪くとも、雑草のようにあきらめず粘り強く続ける精神を持ち続ける」という自分を奮い立たせる強い生命力が溢れた言葉です。
しかし、お墓に生える雑草はそのしぶとさが問題となりますね。
ここでは、ご一緒にお墓の除草について考えていきましょう。
お墓の除草の基本方針
雑草対策の基本方針は、以下の3点です。
- 生えている草を除去す
- 太陽光に当てない・・・光合成できない環境にすれば生えない
- 土を覆う・・・根が付かなければ生えない
この基本方針をもとにした具体的な手段を検討していきます。
除草の具体的な手段
具体的には次のような手段があります。
定期的に草を抜く
一番オーソドックスな方法は、ただ草を抜くことです。
気づいたときにちょこちょこ抜いておくと楽です。
特に雨上がりや雨が降った翌日がおすすめです。
…ですが、こまめにお墓参りに行けるならそれも可能です。
それが難しいからこの記事を読んでくださっているのかもしれません。
また雑草問題の根本的な解決にもなりません。
除草剤を使う
薬品の力によって雑草の成長を抑えることで生えなくする方法です。
除草剤はホームセンターなどで簡単に入手することができます。
除草剤は、液体タイプと粒状タイプがあります。
液体は即効性があり効果は1~2か月持続します。
粒状は徐々に染みこみますので即効性はありませんが、効果は半年ほど続きます。
お墓参りの頻度によって、使い分けても良いでしょう。
各除草剤の説明書をよく読み、最適なものを選んでください。
尚、除草剤は農薬の一種なので、人体や環境への危険性があります。
使用時は、マスクや手袋、長袖の服などを着用し、皮膚で直接触れないようにしてください。
また、霊園や寺院の中にあるお墓で除草剤を使う場合は、後でトラブルが起こることを防ぐために、管理者や事務所に使用しても良いか確認したほうが無難です。
砂利石を敷き詰める
砂利を敷くことで太陽光が地面の雑草の種に当たりにくくなるため、雑草の成長を抑える効果が少なからずあります。
砂利敷きは景観が良いのがメリットです。
雑草が生い茂ったお墓ときれいに砂利が敷かれたお墓では、見栄えが格段に違ってきます。
砂利敷きの欠点は、使い方を誤ると、逆にお手入れが大変になってしまうという事です。
例えば、砂利の厚みが十分でないと、砂利が沈んだり散らばったりして土がむき出しになってしまいます。
また砂利を敷いただけではすぐに間から草が生えてきてしまいますし、落ち葉が多いところで使うと掃除が大変になるので注意が必要です。
防草シートを敷く
防草シートは太陽光を防ぐ素材でできているため、雑草が光合成できず成長しません。
植物の成長する仕組みを逆手に取った方法です。
防草シートは、ネットやホームセンターで入手可能です。
広さに合わせてシートを切り、止めピンで地中に固定させるといった手間が掛かります。
一方で高性能な防草シートを使用すれば、かなりの雑草対策になります。
デメリットは、耐用年数に限りがある事と、防草シートをむき出しにしたままだと見た目がよくない事でしょう。
【参考】
→ 「雑草の悩みを解消『お墓の除草工事』支援」
コンクリートで舗装する。
区画内の土を掘削し、コンクリートを打設してその上に玉砂利を敷きます。
防草シートに比べて、格段に耐久年数が伸びます。
全面にコンクリートを打設する場合は、数か所水抜き穴を設ける必要があります。
水抜き穴に玉砂利が詰まらないようにシートを被せています。
防草土(固まる土)を敷き詰める
セメント等を混ぜて、固めた土を敷くことにより、雑草が根付かないくらい固い土壌にする方法です。
近年では、水をかけるだけで固まる土も販売されています。
3㎝程度の厚さで草が生えなくなると言われています。
砂利と違い、落ち葉が落ちた時の掃除がしやすいのも利点です。
ただし、意外と施工は難しく、やり方により仕上がりに差が出ます。
また経年劣化すると汚くなり、水はけが悪い場所ですと苔が生えることがあります。
仕上がり的には強度の弱いコンクリートのような物なのでやり直しが利きにくい為、考えて使用しましょう。
石張りにする
土や砂利の部分に石材を敷くという方法です。
近年、リフォームの際などに施工される方も増えており、かなり防草効果の高い手段になります。
お墓参りの際のお掃除が簡単になり、美しさが比較的長持ちするという利点もあります。
ただしご自身で施工することは難しく、専門の業者に施工してもらうことになるでしょう。
また、石張りは滑りやすく、メンテナンスをしないと水アカがついてしまうマイナス面もあります。
ご注意 ~おすすめできない雑草対策~
反対に、一般に行われていることがあるものの、実はオススメできない雑草対策をはこちらです。
塩をまく
塩や塩水を直接地面に撒いて除草されている方がおられます。
確かに、塩は土の中で分解されず植物が生えない状態にしますが、墓石にとってはよくありません。
地中から蒸発に伴って析出した塩分が地表面付近で結晶化し、岩石を崩壊させるという塩類風化現象が起こるからです。
塩を撒くと確かに雑草を処理することは出来ますが、後の影響を考えるとお勧めできません。
熱湯をかける
除草剤の代わりに熱湯をかけるという方法が雑草対策として紹介されていることもあります。
しかし、雑草が枯れる量の熱湯をまくというのはかなり大変な作業です。
地上の雑草を枯らすのには有効ですが、深い根っこの根絶は一度お湯をかけたくらいでは難しいでしょう。
またお墓で熱湯を大量に用意するのは難しく、労力の割には効果の低い作業といえそうです。
雑草対策をふり返ると……
多くの手段を紹介してきましたが、どれもメリットデメリットがありこれ1つでOK!というものがありません。
むしろいくつかの対策を併用する発想をしたほうがよさそうです。
たとえば以下3つを合わせて使用することで限りなく生えなくすることが可能です。
ぜひ参考にして雑草のない快適な環境を作って下さい。
【3点セットの対策】
①除草剤
生える前に散布することで駆除ではなく防草対策ができる
②コンクリート舗装 又は 防草シート
長期間生えない環境を作れる
③砂利
太陽光が当たりにくい&見た目問題をカバーできる。砂利を敷くことによって防草シートに直接日の光が当たりにくく劣化を妨げる。
支援サービスのご紹介
奈良のお墓のよろず相談所では、お墓の草むしりのご相談もお受けしています。
除草工事を実施することで、草むしりの重労働を激減させることができたりします。
お気軽にお声いただければ幸いです。